ザンビア孤児院
ザンビアでは首都のルサカのンゴンベコンパウンド(スラム)において、HIV孤児のための学校運営、給食支援を行なっています。
ザンビアの就学支援について
ザンビアのHIVの孤児の学校の運営事業はストリートチルドレンの支援から始まりました。
ザンビアのルサカには10000人を超えるストリートチルドレンがいると言われています。彼らは食べるために物乞いをしたり、時には犯罪に手を染めています。空腹や心の傷を紛らわすために安いドラックを使用します。そのため内臓はボロボロです。彼らには彼らの文化があります。弱肉強食の文化で歳上のものから年下の者が食べ物やお金を奪われるのは普通のことです。虚勢を張って自分を強く見せて生きていかなければなりません。街の人には差別され警察には理不尽な理由で逮捕されたりもします。
そんな子どもたちに炊き出しをするところから支援が始まりました。ある日100人近くのストリートチルドレンが選挙が近い街の景観を綺麗にするという理由で逮捕、勾留されました。普段炊き出しに来てる子供たちだったので、スタッフたち(ザイオン桜子ムタレ:現地責任者)は警察に抗議に行きました。するとあなたが身元引き受けをされるなら良いと言われ、その日のうちに全員、連れ帰りました。
そこからシェルター運営が始まりました。ストリートから抜け出したい子供や、助けが必要な子供たちを受け取ります。シェルターで大事にしていることは、3食しっかり与えるということと、ドラッグをやめるということと、暴力や性的なことなどのストリートの文化から離れることです。
もちろん、ストリートの子どもたちはすぐにそれを守ることはできません、何度もルールを破り、何度も逃げだします。しかし、本当に謝って戻ってくる場合は何度でも受け入れます。彼らの最後のセーフティネットになるためです。数年の活動で何人もの子どもたちが立ち直って自立していきました。しかし、何人もの子どもたちがストリートに戻っていきました。ストリートの文化から抜け出せないのです。
そこで、問題の根本的な解決にはストリートに出る前の子ども達の支援が必要だと考えるようになりました。子どもたちがストリートに出る理由は様々ありますが、大きな理由の一つは食べ物がない。そして、もう一つは教育を受けることができない。というところにあります。学校運営は子どもたちに教育を与え、給食を与えることで、子どもたちがストリートに出る大きな理由の二つを無くすことができます。
現在はストリートチルドレンの働きはジャスパーさん(TLEAザンビア教会牧師)がンサンサという団体を作り運営(行政の指示により団体を分けるように言われたため、ストリートチルドレンと孤児の管轄省庁が違うため)し、礎の石孤児院ではルサカのンゴンベというスラムでHIV孤児の子どもたちの学校を運営しています。そこでは1年生から7年生の子ども達が現在約70人在籍しています。その子どもたちの全員が食べ物もなく、教育も受けることのできなかった子どもたちです。食べ物を探しにストリートにいつ出てもおかしくない子どもたちでした。今彼らは制服を着て元気に勉強しています。給食ではお腹いっぱいご飯を食べて、ドラッグを吸う必要もありません。今年初めての卒業生が出ました。10人の卒業生は進級試験を受けて合格したら8年生となることができます。
しかし、私たちが運営してる学校は1〜7年生が学ぶスペースしかありません。
そこで8年生以降を受け取るセカンダリースクールをずっと求めていました。すると関西エンジニアリングさんの800万円の支援により、土地を購入することができました。そしてgood neighbors【https://www.gnjp.org】(韓国の福祉団体)が建物の建設と井戸の設置など800万円を超える支援をしてくださいました。
セカンダリースクールを開講するためにはあと430万円の準備金と8人の先生の給与として月25万円の必要があります。
どうか、この働きのため、皆様のご支援を何卒、よろしくお願いいたします。
礎の石孤児院 ザンビア担当
秋元ヨハネ
マンスリーレポート(2023年4月)

Photo:白馬にて
ムリシャーニ(お元気ですか)?
あっという間に日本での1ヶ月が経ち、明日いよいよザンビアに帰国します。
日本に来たら、何をしたい、誰々に 会いたい、などと色々と夢みたのですが、実際には夢見た以上に、実り大きな日々でした。
仙台、 東京、伊丹、広島、四日市で行われた報告会では、日頃からご支援頂いている方々と、4年振り以上 にお会いする事ができて、とても嬉しかったです。
私たちの活動が、多くの方々の、温かいお気持ちに支えられている事を改めて感じ、大きな励みになりました。
今年一年は、特に中高等学校建設を更に進める必要があり、無我夢中にその為の資金4千万円を求めていかなければならない年です… 正直、これ以上何をしたら良いのか分からないのですが、それでもいつか、全ての建設工程を終えて、子どもたちが元気に学んでいる姿を見る事ができるようになる事を信じて、精進していく決心 をしています。
また、車の故障にも頭を悩ませているのですが、こちらも200万円程必要としていま す。こちらも併せて、引き続きご支援を頂けたら幸いに思います。
最後に、息子響との1ヶ月の日本滞在で多くの方から温かい励まし、ご支援を頂きました事に、改めて御礼を申し上げます。
(シオン桜子ムタレ)
ザンビア孤児院について




ザンビアでは、主に貧困を背景として約100万人以上の孤児がいるとされています。親を亡くした孤児たちは、精神的、経済的な支えを失うのみならず、貧困、疎外、差別を経験しながら、就学、就職の機会をめぐっても、孤独な闘いを強いられています。ザンビア孤児院は、そのような状況にある孤児の救済を目指し、首都において運営されていますが、同時に、地域の現状とニーズにより、幅広い支援活動を展開しています。
2004年から始まったザンビア孤児院の働きは、農村部における孤児院の運営から始まり、首都ルサカに拠点を移したのちにストリートキッズの緊急シェルターの運営を行いました。その経験の中で、孤児やストリートキッズ達が貧困から抜け出し自立した生活を送るためには、幼い頃からの教育と食事の補償が重要であると考えました。そのため、現在はHIV孤児の学校運営をルサカのスラムであるンゴンベコンパウンドで学校運営と給食支援を行なっています。社会から見捨てられた子どもたちを助け、ひとりひとりが、自分の命に価値と意味を見出し、それを全うしていけるように、皆様のご協力とご支援をよろしくお願いいたします。
ンゴンベコンパウンド
ザンビアには 140 万人の孤児がいると言われています。
ンゴンベコンパウンド(スラム)の人口は約15万人であり、その半数が子ども人口、そのうち6〜7人にひとりが孤児であると言われています。
多くの孤児は、親を失った後、祖父母や親戚に預けられて生活していますが、教育費が負担となり、学校に行かせてもらえないか、親戚をたらい回しにされる場合が非常に多いという状況があります。特にコンパウンドの孤児においてそれは顕著です。
当団体はストリートチルドレンの保護と養育もしてきましたが、その経験から、子どもが路上に出る大きな要因は、①家に食べ物がない、 ②学校に行けてない、③ 虐待を受けている、の3つであると考えます。
子どもが 1 度ストリートでの生活を体験してしまうと、多くのトラウマ体験を経てしまい、またドラッグやアルコールにのめり込み、その更生には長い時間がかかります。
そこで、 ①と②の要因を支援し、子ども達が路上に出てしまう事を予防し、かつ生産的に将来を切り開ていく事が出来るような、教育支援が必要とされています。
現在、当団体では、コンパウンドにて、孤児の中でも、更に困難な状況に置かれているHIV 孤児(親をHIV で亡くした、または本人も陽性)の救済を重点課題とした学校を運営し、教育と給食を支援しています。
孤児たちの多くは、居住する家庭においては一日1〜2食しか食べれていない、かつ今まで貧困により学校に通えていませんでした。中でもHIV に感染している孤児たちは、毎日免疫を高めるための薬を服薬しますが、特に空腹時の服薬は危険な副作用を及ぼすため、昼食だけでなく、朝食の提供も行っています。
『傍観者であってはならない。問題解決を目指し、新しい社会の創造者たれ』を教育モットーとしており、子ども達が創造的に、発展的に思考しながら豊かな人生をつくり出せる教育を目指しています。
昨年は、債務不履行に陥るなど、ザンビア経済は悪化の一途を辿っており、失業、飢餓等は更に深刻さを増してきています。そのため、孤児家庭を含めたコミュニティ全体の、特に収入向上を目指したエンパワーメント活動を計画しています。その第一歩として、コミュニティとの信頼関係を作るために、緊急支援として食糧・衣料等配布や、JICA に係わるあるプロジェクトに協力し、地域の女性たちを対象にしたコンパウンドの美化活動等も継続して行ってきました。
また、孤児を預かっている親戚の家庭環境によって、孤児の毎日の登校が困難になるケースがあるため、その親戚への医療費等も含めた様々な支援を行なっています。




ザンビア孤児院 責任者
桜子ムタレ(青木)スタッフ
桜子ムタレ(青木)スタッフ
宮城県名取市に生まれる 20歳で青年海外協力隊に参加し、西アフリカセネガルに2年間滞在帰国後、日本福祉大にて、教育と福祉、国際福祉を学ぶ 名古屋市の重度知的障害者の入所更生施設で勤務後、NPO法人礎の石孤児院ザンビアのコーディネーターとしてザンビアに滞在し、現在に至る。 ザンビア人の夫との間に3男あり。

桜子ムタレ スタッフ